勉強を進める上での障害のひとつは、「今までのやり方」です。
「これまで百回書いて覚えてきた」という生徒は、
どうしてもそのやり方にこだわります。
このやり方でやっているから今の成績が維持できている、と思ってしまうのです。
でも、多くの場合、そのやり方だからそれだけ出来ている、のではなく、
そのやり方だから、その程度しかできていないのです。
つぎのステップに進むためには、
これまでの「あたりまえ」を乗り越えなくてはいけません。

もうひとつの障害は、「目先の成果」です。
次のテストでよい点数を取る、という意識はとても大切ですが、
唯一大切なものでもなければ、いちばん大切なものでもありません。
スポーツでも何でも、明日すぐに結果を出そうとすると、
フォームを一から直すような矯正は難しいものです。
大学入試という大きな目標の前では、
次の定期テストというような目先の成績はいったん忘れ、
途中の成績など落ちても構わないくらいの気持ちで、
基礎からやり直す方がよい場合が少なくありません。

定期テストの対策と言うと、
とかく訳文を丸暗記して高得点を狙う、というようなやり方をしがちです。
しかしいったんこの味を覚えると、
なまじっか結果がよいだけに、なかなか止められなくなってしまいます。
恐ろしいことです。気の毒なことです。
一所懸命やればやるほど、悪い癖を刷り込んでいるようなものだからです。
試験範囲がごく限られている定期試験ならいざ知らず、
こんな方法では、大学受験はとても乗り切れるものではありません。

分かっていようがいまいが構わずに、
なんとか解き方を覚えて解けるようにする、とか、
教科書の重要語句をひたすら丸暗記する、というのは勉強ではありません。
答が出ればよいと考えるのではなく、
答にいたるまでの論理の築き方、言葉の使い方をしっかり理解し練習する、
という姿勢が大切なのです。

解法を棒暗記して試験で吐き出し、
終わったらすべて忘れてしまう、というようなやり方は、
その場しのぎのごまかしにすぎません。
面白くもなく、覚えたことが残りもしない不毛な勉強は、もうやめましょう。
若いみなさんの、美しくかけがえのない時間を、
そんなつまらないことに費やしてはいけません。