15年ぶりに

前橋汀子のコンサートに行ってきた。
仕事がら夜は出かけられないので、
こういう昼間の催しはありがたい。
うかつにもチケットの購入に出遅れて、
痛恨の2階席となったが、
行ってみればホールは小さく、
ステージ正面のとても見やすい場所だった。
生ならではの
空気が鳴っているような音の響きだけで、
もう十分嬉しくて、
最初の十秒くらいは、
気持ちはどこかにトリップしていた。
もちろんそんな陶然とした気持ちは
響きに慣れた頃には消えてしまうものだけれど、
あの一瞬を味わえただけでも
出かけた甲斐があった。
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同じ音楽とはいうものの、
あれはいつもiPodをイヤフォンで聴いているものとは、
まったく違っていた。
何だろう。
映像と実物を比べたときに感じるような、
“実体感”の違いというか、
耳だけで聞くものと、
全身で受け止めるものとの違いというか、
普段聴いているものが、
演奏そのものではなく、
演奏のカタログに過ぎないような感じがしてしまった。