取材の申し込み

もしもし、塾長先生でいらっしゃいますか。
わたしども、なんとかジャーナルと申しまして、
銀行等によく置いてあります、アサヒグラフのような感じのですね、
経済誌なのですが、本日はですね、
地域に密着してがんばっておられる学習塾、ということで
ALP様に取材にお伺いしたいと思いまして、
お電話させていただきました。
インタビュアーは、「C学生日記」に出演されている
有名な俳優さん、ご存じかとは思いますが
(ここで一拍タメ)、
何のナニガシさんなんですが、そのC学生日記のナニガシ先生と
教育を語るということでですね、大手さんにはないような、
地域に密着した活動をしていらっしゃる学習塾の中でも、
とくに評判のよいALP様に取材をさせていただけたら、
と思いまして。
ふーん、どうしてウチのことお知りになられたんですか。
それはですね、ニシヤマモトドオリの、ですね、
その地域に密着してがんばっておられるということで、
近所の評判などをですね、やはり大手さんとは違った
教育理念をお持ちということで、そうした学習塾さんを広く
紹介するというのが今回の特集の趣旨でして、
そういうわけで、今週の金曜日土曜日に30分ほど
お時間をいただいて取材をさせていただけないかと思いまして。
おもしろいからしばらく長広舌につき合っていたが、
残念ながらぼくはこの商売を知っている。
それから、西山本通は、ニシヤマモトドオリじゃなくて、
ニシヤマホンドオリね。
20年前はもっと高かった気がするが、
「取材費」は7万円だそうだ。
こういう商売が成り立つということは、
もちろん広告と割り切ってお金を出す人も多いのだろうが、
「自分は取材を受けるに値する」と感じている人が
少なからず存在する、ということなのだろう。
そういう自尊心につけ込むってところがなかなか巧妙である。
世の中にはいろいろ楽しい商売があって、
頼んでもいない雑誌を送りつけ「年間購読料48000円」なんて
請求をしてきたり、
頼んでもいない雑誌を送っても来ないで、請求書だけを送ってきたり、
タウンページそっくりの様式で、
さもそれらしい請求書が送られてきたりもするのだが、
そういう商売は、
「誰かが発注したのかなあ」と疑いながら払っちゃうこと、
すなわち「うっかり」を期待しているだけだから、どこか
とぼけた可愛げがあるが、
取材を装っておじさんの「自尊心」につけこむってのは、
少々それとは違っている。
人としての弱みを狙い撃つのはさすがにずるい。