そんな言葉は知らんぞ

リビア関連のニュースをチェックしていたら、
首都防衛のために雇い兵を募集しているとか、
雇い兵が市民を殺りくしているとかいう記事が目に留まった。
何、この「雇い兵」って。
日常的に使う言葉じゃないから、別に実害があるわけではないけど、
こんなに気持ちの悪い言葉は久しぶりに見た気がする。
「雇い兵」
うわっ、ぞわぞわする。気色わりっ。
傭兵、なんて言葉がとりわけ美しいわけでもないのに、
この言い換えは、どうしてこんなに不快なんだろう。
手元にある辞書には、雇い兵なんて言葉は載っていない。
ってことは、報道は、従来からある言葉を使わず、
ない言葉を作り出してまで、常用漢字の規制を守ろうとしているってことか。
ふーん、常用漢字は日本語よりも大事なのか。
それじゃまるで、
健康のためなら命もいらない、っていうのと同じじゃないか。
へんなの。
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ふつうに考えれば、言葉は貧しいよりも豊かな方がいいだろう。
豊かな言葉には、豊かな語彙が必要だろう。
では、豊かな語彙を育てるには、漢字を制限した方がいいのか、
しないほうがいいのか。
これはそんなに難しい理屈だろうか。
ぼくはこれまで、漢字をもっと制限しろ、なんて言っている人に
会ったことがないし、
そう論じている文章を読んだこともない。
漢字制限に反対する議論は、いくらでもあるけど。
いったい、こういう制限とか、書き換えって、
誰のためにやっているんだろうね。
第一さ、あんまり大きな声では言えないけれど、
傭兵という言葉を知らなくて、
調べようとも思わないような人は、
たとえそれを雇い兵と言い換えてもらっても、
やっぱり何も分からないと思う。
で、そういう分かる努力をしない人には、
分からせようとする必要など、ないと思う。
たとえば経済欄の「押し目買いが入って反発した」なんて記事は
明らかに分かる人だけに向けて書いているけど、
誰も文句は言わないでしょ。
スポーツ欄だって、知らない人にはちんぷんかんぷんなんだし。
国際欄だって、そういう姿勢でいいじゃない。
雇い兵。
どーでもいいが、弱そうな名前だ。