根本順吉+新田次郎「病める地球、ガイアの思想」

朝日出版社のレクチュア・ブックスの一冊。30年くらい前の本。副題は「汎気候学講義」。ともに気象台で働いていた二人の対談である。あまりに面白いので、この本をもとにラジオ番組が作られたこともある。「かつてサハラ砂漠は湿潤だった。それが6千年前に高気圧の圏内にすっぽり入ったために、雨が降らなくなってしまった。人々は水を求めてナイル川まで移動した。エジプト文明は彼らを奴隷として利用することによって成立したのだ」などという気候と文明の関係も面白いし、「昭和のはじめ、虹を観測することによって地震を予知し、「明日朝四時伊豆ニ地震有リ」と新聞社に電報を打って見事に的中させた人がいた」なんていう話もたまらない。この本ばかりでなく、魅力のある人たちの対談をずらりと並べたレクチュア・ブックスは本当にすごい企画だった。若いころの脳みそに、くっきりと刻印を残した本のひとつ。