今泉吉晴「空中モグラあらわる」

ネズミ、モグラ、リス、ムササビなど、比較的身近な動物の生態をくわしく紹介した本。すべての動物は資源が豊富な人間の世界に入り込もうとしているが、それに成功した動物はわずかに三種のネズミだけ、いわば家ネズミは動物界の英雄なのだ、なんていう書きぶりがいい。表題は、金網をまるめてパイプ状にして張りめぐらせ、その中でモグラを飼って生態を観察したことにちなむ。この素晴らしい本が売れないとしたら、それはタイトルと表紙のせいだろう。何とかしてやってくれ。