川北稔「砂糖の世界史」

紅茶といえばイギリスだが、じつはイギリス国内では、ひとつまみの茶も砂糖も採ることはできない。彼らの贅沢を支えたのは、ほかでもない広大な植民地と無数の奴隷の命だった。
カリブ海の島々は一面の砂糖きび畑となり果て、現地の人たちが自分の食べる食糧すら作れないありさまに変えられてしまった。先住民は根こそぎにされ、アフリカからかり集められた奴隷は昼夜の別なく働かされた。今日極貧にあえぐ発展途上国の原型は、こうして作られたというわけだ。砂糖というモノを通して、白人が積み上げてきた凄惨な歴史が浮かび上がる。