古代から現代に至るまでの死刑の歴史を描いた本。決して猟奇趣味ではないが、読むと気分が悪くなる。焚刑だのギロチンだのといった過去のものから、絞首刑、電気椅子などといった今日使われている方法に至るまで、処刑の様子がじつに詳しい。凶悪な犯罪を犯した者には相応の罰を与えなければならない、という言い分はよく耳にするものだが、しかし、実際の処刑を少しでも思い浮かべてみたならば、それがいかに残酷なものかが分かるだろう。絞首しようが電気を流そうが、そしてやや意外なことにギロチンにかけようが、人の死というものは一瞬のうちにおとずれるわけではないらしい。断頭台の下から自分の胴体を見上げる罪人、という図を思い浮かべるのは悪趣味かもしれないが、死刑の是非を考えるには、そういうリアリティを抜きにして理屈だけで論じても仕方がない気がする。明治大学博物館では、ギロチンや鉄の処女、獄門台、磔柱などの展示をみることができるので、さらにリアルな想像をしたい人にはこちらもおすすめ。