古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち」

おじさんたちが語りたがるありがちな若者論がいかに根拠のないものかを、さまざまなデータに基づいて教えてくれる。インターネットのおかげで、認められたい欲求が満たされるようになった若者が、小さな世界の中で充足するのは当然だし、むしろ向上心とやらによって良いものを果てもなく求め続けるよりも、よほど幸せに近い生き方なのだと思わされた。
「『日本』がなくなっても、かつて『日本』だった国に生きる人々が幸せなのだとしたら、何が問題なのだろう。」
などという歯に衣着せぬというか、身も蓋もない言い方が痛快。脚注も秀逸。
軽快な文体に乗せられて、あっという間に読んでしまった。