川田絢音「悲鳴」

80ページ足らずの薄い詩集だが、ひとつひとつの作品と向かい合うには、これくらいのものがいい。読み飛ばすにはあまりにも濃密だ。ことばに滲む深い孤独と冷徹な情熱から目を離すことができない。多くは誰かと一緒にいる情景が描かれているが、そのために、孤独はいっそう深い。大きな声で叫ぶのでもなく、うずくまって泣くのでもなく、感傷にふけるのでもない。ひとり異郷にあるためだけでなく、こころと身体も離れ離れになってしまったような、帰るところのない孤独。夜の冷たい石畳の感触が、まだ残っているような気さえする。