索引も含めると千ページにも達する数学の本。副題は「中学生からの全方位学習法」。「人類文化の全体的把握を目指した独習書」というだけあって、教育論から歴史(歴代天皇生没年まで載っている)、文学、スポーツまで、その書きっぷりは縦横無尽である。数学書なので数学の話題が中心なのはもちろんだが、「人として大事なことは何でも教えたい」というような姿勢だから、著者が論じる範囲は数学教育の枠をはるかに超えてしまう。これを不遜だ、独善的だと嫌う人もいるだろうが、そんな批判をものともしない志を感じる。何ごとも細分化・専門化される一方の現代社会に、まだこんな人が生き残っているのか。