身近な、あるいは失われてしまった道具の数々を紹介する本。「うどんげ」とは、ごく稀にうどんに生える毛のことであり、「徒然草」は「とぜんそう」という幻覚作用のある草なのだという。吉田兼好はこの芳香に夢うつつとなりながら書いたのだから、徒然草という作品は、大麻でも吸ってその幻覚下で読まないと真の良さは分からない、という。著者には他に「虫づくし」「もののけづくし」もあるが、くだらなさ、もっともらしさともに、この作品がいちばん。虚構新聞に先立つこと20年、いつの世にもこういう人はいるものである。一気に読むと飽きるので、少しずつ読むのが吉。