いつも7時半までぐーすか寝ている私が、
今朝は5時に目が覚めた。
目が覚めたのみならず、
こうして起き出して活動をしている。
すばらしい。
いや、大したことじゃない。
ほめるんだったら、こいつをほめてやってくれ。
蚊。
そう、蚊ですよ、蚊。
あ、蚊がいる!
と騒ぎ立てるわれわれに学び、
幼いわが子が
「かが」
と呼んでいたあれである。
いとけない子どもが、
「かががいる」
と「が」を余分に言うさまは何とも可愛らしかったものだが、
その長男も今ではちっとも可愛くなくなり、
もとより蚊など最初からかわいくない。
至福の思いで布団にくるまっていたら、
ぷーん
ぷーん
ぷーん
ぷーん
ぷーん
ああ、うっとうしい!
目が覚め、たまらず起きてみると、
左のひじと手首と小指の付け根と首筋と頬を刺されていた。
まったくこの世にあれほど卑劣なものがあるだろうか。
夜陰に乗じてこっそりと人を襲い、
まるであざ笑うかのように羽音を立てて、
姿を見せない。
刺すだけならまだしも、
ぷーん
ぷーん
ぷーん
とまとわりついて、ついには私を起こすのだ。
こいつだけは許せない。
自然の摂理は深遠である。
人には伺い知れないバランスがあり、
一見無駄と思えるものにも隠された役割があり、
そうした役割が複雑に絡み合って、
玄妙な自然の均衡が保たれている。
もしかしたら、この蚊にも、
何かしら大きな役割があるのかもしれない。
でもいい。
どんなことになってもいい。
この地球がどうなっても構わない。
おまえら、とっとと絶滅してくれ。
まぶたも刺されてるし。
くそーっ。