月別アーカイブ: 2006年9月

口内炎によせて

非常に個人的なことなのですが、
口内炎が4箇所もできてしまって憂鬱です。
こんなことは四十有余年生きてきた中でも記憶がなく、
いや、記憶がないこと自体はいつものことなんですが、
とにかく痛いししゃべりにくいし気になるしで、
もう頭の中の半分くらい、
つまり現在のわたしにとっての世界の半分くらいは
口内炎でいっぱいなのですが、
それなのに、わたし以外のすべての人にとって、
わたしのこの口内炎は他人ごとなんですよね。
こんなはっきりした実感を
わたし以外の誰も感じていないだなんて、
何だか驚きです。
みなさんが平気でいらっしゃるということが、
にわかには信じられない気持ちです。
まったく世界というものは
わたしとわたし以外のもので構成されている
ということが痛いほど、
いや本当に痛いんですが、
痛いほど実感できてしまうわけで、
こうした本源的な孤独の中でですね、
口内炎という内部と外部の狭間のようなところで、
わたしの一部でありながら
わたしではない異物として存在するこいつと
サシで向かい合うという経験はですね、
自己の中に他者を見、
他者の中に自己を見る瞬間の、
そのあわいにおける存在の明滅がですね、
あるかなきかの統一の可能性を暗示している
ということをですね、
真面目に読んでいる人には悪いんですが
このあたりははまったく意味のない叙述なわけで、
こんなことを書いてしまうのは、
みな口内炎のせいであることは言うまでもなく、
とすれば口内炎はわたしの行動を、
いやもしかしたら
わたしの人格そのものを決定づける力を持って
いるわけで、
それはすなわち今やわたしの意思や思考や感情は
その相当の部分が口内炎の支配下にあり、
わたしはわたしでありながらわたしではない
まるでゾンビのような存在に成り下がってしまった
ということになるのでしょうか。
わたしはこのちっぽけな口内炎に屈し、
かのものに操られるまま生きていくしか
ないのでしょうか。
ああ無念です。残念です。
さようなら、わたしの理性、
さようなら、わたしであったわたし。
おおこうして、ひらがなで重ねて書くと、
わたしはまるでたわしのようです。
わたしたわしわたしたわたしか。
私、タワシ渡したわ、確か。
おお、なかなかいいじゃないですか。
ほとんどゲシュタルト崩壊ですね。
これもみな口内炎のせいです。
ああ、ああ、口内炎め、この、口内炎め。

Google Earthふたたび

そうですか、Google Earthって、
ずいぶん有名なサービスだったんですね。
毎日パソコンを触っているのに、
どうしてわたしは知らなかったんでしょう。
いつものように、
マックだからどうせ見られない、
なんて思っていたんでしょうかね。
それはともかく。
見られて困る所にはちゃんと雲がかかっている、
という話には驚きました。
というか、安心しました。
情報統制と考えると面白くありませんが、
節度ある情報公開と思えば、むしろホッとする感じです。
だって、稼ぎたい一心の民間会社が、
国家の熟考された政策を何ら考慮せず、
軍事機密を含んだ情報をほいほい公開してしまうようなことが
あったとしたら、
それは情報が統制されたり言論が抑圧されたりすることよりも、
はるかに危険な事態ですものね。
いやあ、知らなかったなあ。
おもしろいなあ。
またいろいろ教えてくださいね。

Google Earth

Google Earthをご存じだろうか。
世界中の航空写真が無料で見られるという
信じられないようなサービスである。
それも生半可なものではない。
きのうから幾度となくのぞき、
そのたびに驚かないではいられない。
ぼくはこれで平壌のくすんだ町並みを見た。
モスクワで路肩に斜めに駐車しているクルマを見た。
デンバーにはサンルーフのついた車が多いことを知った。
ウチのアパートの駐車場に赤いクルマが一台しかないことも分かった。
これはすでに、人間が踏み込んではいけない領域ではないのか。
エンターテイメントが国家をはるかに見下ろしているような
このすさまじい「情報化」に、
ある種の暴力性を感じてしまうのは考えすぎだろうか。

ひさしぶり

ひさしぶりの更新です。
もうひと月も経ってしまいました。
あんなに暑かった夏の日も過ぎてしまえば懐かしく、
日ごと深まる秋の暮れ、肌にしみいる寒風に、
木立の枝に透ける日の、ゆれる葉陰に落つる影、
とよはた雲の山ぎわに、秋が来たきたどんじゃらほい、
なんてでまかせの歌謡までが口をつく、
今日このごろでございます。
さて、久しぶりと言えば、きのうは3年ぶりに、
友人の主催する野外ライブに出かけてきました。
会場は標高五百メートルほどの山の上。
日差しはとても強かったのですが、
日陰はひんやりとして気持ちよく、
遊びに行ったんだか昼寝に行ったんだか
分からないような、
まあのんびりした一日を過ごしてきました。
いや初秋の森というのは、
どうしてあんなに懐かしいんでしょうね。
これからぼちぼち更新しますので、
ときどきのぞいてやってくださいまし。