夕方まで仕事がないのをいいことに、
郡上八幡に行ってきた。
つい先週まで、
大勢の人が夜を徹して踊りさんざめいていたなんて、
嘘のようだ。
この町は、どこを歩いても水の音がする。
夏には若い子たちが
町の真ん中を流れる吉田川を目がけて、
12メートルもある高い橋から次々に飛び込むという。
もちろん危険がないわけはない。
よそから来た学生が溺れて亡くなる事故もあった。
それでも市は飛び込みを禁止するわけでもなく、
「飛び込むときは気をつけましょう」なんていう
看板を立てているだけである。
こうした鷹揚さは好もしい。
橋の上から釣りをしている人を眺めていたら、
バイクで配達中のおじさんに、
釣れてますか、と声を掛けられた。
どうですかねえ、なんてあいまいに答えたが、
おじさんはぼくの返事など聞きもせず、
じいっと川のおもてを見つめている。
仕事なんてほっぽり出して、
釣りたい一心なのがおかしかった。