迷子のボクちゃん

今日の夕方、作文の授業で散歩に行った。
作文を書くのに散歩、と思われるかもしれないが、
ウチの塾ではいいのである。
さて、その散歩の帰りに、
幼稚園くらいのお兄ちゃんと、
2歳くらいの弟くんの兄弟に出くわした。
公園にでも行った帰りらしい。
ところがお兄ちゃんは下り坂をいいことに、
補助輪付きの自転車でさっさと行ってしまい、
そのまんま姿が見えなくなってしまった!
弟くんは大泣きである。
見たこともない子だが、仕方がない。
ボクちゃんの手を引いておうちに連れて行くことにした。
ところが、おうちが分からない。
あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。
おにいちゃんの行方も知れない。
あっちだよー。
ちがうねー。
おうちわかんないや。
ぼくんちねー、おもちゃがいっぱいあるよー。
あーあ、つかれちゃった。
なんていうボクちゃんに30分以上も連れ回され、
やっと目指すマンションにたどり着いた頃には、
授業の時間はあらかた終わってしまっていた。
あちゃー。
しかし、この救出劇は、とても印象的だった。
ぼくの生徒である小3と小5の兄弟が、
大活躍をしてくれたからだ。
自分のできることをさっと判断して、
あちこち走り回ってようすを見たり、
自転車を取ってきて、
はぐれたお兄ちゃんを捜しに行くと言ってくれたり、
さかんにその男の子に話しかけたり、
一件ずつ表札を確かめたり、
男の子の曖昧な供述から事実を推理したり、
マンションの自転車置き場を捜査して、
まだお兄ちゃんが帰ってきていないことを確かめたり、
まあ、動くこと動くこと。
小学生が、あんなに機転をきかせて働けるとは
思ってもみなかった。
ほんとうに感心したなあ。
教室でお勉強をする限り、
ものすごく優秀というわけではないが、
なるほど、ああいうのを頭がいい子って言うんだなあ、と
見直したことだった。