賞味期限切れの原料を使っていたということで、
不二家がきつい批判を浴びている。
このまま行くと、倒産しかねないような状況である。
このたび不二家のしたことが
業界の常識に照らしてどれほど度外れなのか、
食品メーカーの人の本音を聞きたいところだが、
素人の直観だけで言えば、
当たり前のことをしていただけなのに、
ことさらに騒ぎ立てられて可哀想に、くらいに思われて
いるのではないだろうか。
ぼくは大学生の時に大手製パン会社の工場でアルバイトをした
ことがある。
あんドーナツやカレーパンを揚げる油が臭いのにも閉口したが、
コンベアから落ちたパンを拾い集めて「お徳用袋」に詰めるように
言われたときには驚いた。
アルバイトはごく短いものだったが、
それからしばらくパンは食べられなかった。
お祭りで綿菓子を売ったこともある。
倉庫から引っ張り出してきた綿菓子の機械を、
真っ黒な雑巾でこすって、準備完了。
暗がりの中で売っていたからよく分からなかったが、
あの綿菓子は、安全だったかどうかというよりも、
ちゃんと白かったかどうかもやや怪しい。
そんなことを思い出すと、
腹をこわした程度の被害者もいないのに、
不二家がここまで叩かれるのはちょっと不自然だと思う。
みんなやっている、
なんてことが理由にならないことは知っているが、
不二家だけじゃない、という事実を忘れているのも
また公平とは言えないだろう。
ざまーみろ、と言いたいだけで、
何千人もの生活をおびやかしてよいなんて、
そんな理屈があるものか。