どういうわけか、肩こりがひどい。
腕が上がらないし、頭痛までしてきて、憂鬱である。
体の不調を自慢するようになっちゃおしまいだが、
まったく何とかならないものか。
さて肩がこるのは日本人だけ、
という話を聞いたことがあるだろうか。
日本人には猫背が多いとか、肩の筋肉が足りないとか、
まことしやかにその原因が説かれたりもしているようだが、
どうもにわかには信じがたい。
世界はひとつ人類はみな兄弟であるという事実に鑑みて、
日本人だけ肩がこる特殊な身体構造をしているなんて、
非科学的だと思わないか。
彼らは論理的に語ることを訓練されているから、
僧帽筋と肩を厳密に区別し、わたしのこの痛みは、
肩ではなく僧帽筋のそれである、と思って答えた
のかもしれない。
あるいは、言語が未発達で「凝る」にあたる繊細な
語彙を持っていないのかもしれない。
それとも揃いもそろってウソつきで、
ほんとは凝っているくせに凝っていないと言い張って
いる可能性も捨てきれない。
どの仮説を採るにせよ、肩が凝らない、というよりは、
まだマシなんじゃなかろうか。
本邦には「瞳を閉じて」なんていう曲があるが、
外国人にどんなとき瞳を閉じるか聞いてみるといい。
彼らは驚倒し、バケモノのようにあなたを見るはずだ。
おれたちは瞳を閉じたりはしない、
まぶたなら閉じるけど、というわけである。
肩こりもおそらくはこの類なんだろう。
日本人はとかく自分たちを特殊だと思いたがる。
しかし、あなただけは特別、という話にろくなものはない。
気をつけましょう。