目で見てすっかり知っているつもりになっているけど、
じつは読み方があやしい字ってありますよね。
たとえば、
千変万化(せんぺんばんか)とか、
習い性(ならい・せい)となる、とか、
字は簡単なんですが、読みはけっこう怪しくないですか。
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むかし授業中に先生が
「…という作品は、しゅっしょくの出来ばえだ」
なんて言うのを聞いて、
ほお、出色ってのはしゅっしょくって
読むんだ、と妙に新鮮に感じたことがある。
ではそれまでどう読んでいたか。
「でいろ」ではない。
「でしょく」でもない。
じつは、何とも読んでいなかったんだよねー。
こういうやさしい漢字は、
読めていなくても意外と気がつかない。
だからいかにも読めない漢字よりも、
ことによるとタチが悪いのかもしれない。
もっとも、
さっき挙げた「習い性となる」あたりは、
読めていないことを自覚していない人があまりに多く、
あまりに堂々と誤用をするためか、
「その人にしみついた習慣的な行動様式」
という意味はそのままに、
「ならいしょう」という名詞として定着し、
とうとう天下の広辞苑にまでに載ってしまった。
多数決の勝利というべきか。
でね。
それはそれでいいのだけれど、
いつかネットで目にした例は、さらなる進化を遂げていて、
さすがにちょっと驚いた。
どこかの学習塾のページだったか、
「こつこつ続けていけば、やがて習い性が身についていく!」
だってさ。
「習い性=勉強のクセ・習慣」だなんて、なかなかいい。