むかしむかし中学だったか高校だったか、
クラスで話し合いをする機会があった。
どういう経緯で決まったのか、
出されたお題は「生き甲斐について」。
司会進行の級長くんが話し合いに先だって、
まずこう口を切った。
「生き甲斐って言うと、趣味ってことになると思うんですがあ」
びっくりした。
全然違うだろ。
生きている甲斐、ってことは、
そのために生きそのために死ぬことができるイデー、
とまでは言わなくても、
矢吹丈にとってのボクシングのような、
もっと自分の生に近いものじゃないのか。
最初から方向を誤り、
すっかり趣味談義になってしまったその後の議論は、
当然ながら覚えていないが、
あのとき感じた強烈な違和感だけは、今でもときどき
思い出す。