近所の本屋を通りかかったら、
ワゴンセールで岩波現代文庫が一冊200円で売っていた。
わーい。
200円ならと思ってあれもこれもと抱え込んでいたら、
いつの間にか隣に見知らぬおばあちゃんが立っていて、
いっしょにワゴンをのぞき込んでいる。
あら、あなた、いい本買ったわねえ、
なんて声をかけてくれるから、ふたこと三言ことばをかわす。
江戸人とユートピアなんて面白そうね、
はあ、歴史ものはお好きですか、
まあ歴史もいろいろ読みますよ、
岩波は買い取りで返品できないから
こういう安売りがあるんですね
なんて、
大した話はしていないが、妙に楽しかった。
7500円分が1400円で買えて、すごく得した気分。
それにしても、本の好みというか、関心の対象というか、
そういうものは、昔から情けないほど変わっていない。
中村雄二郎の「魔女ランダ考」は20年くらい前にも読んだし、
土屋恵一郎の本もずっと買っている。
ミッシェル・フーコーは(ちんぷんかんぷんだけど)
これで何冊になるだろう。
小林秀雄が講演で、今考えていることのもとは
みんな20代のときには出来上がっていた、
なんて言っていたけど、まったくその通りだと思う。
学生諸君は、まさか今の生活が、
そのまま一生の教養の幅を決めるだなんて、
夢にも思っていないだろうなー。