なかなか大変。

バレンタインディである。
この日をハッピーな気分で過ごせた人はどれほどいただろう。
人づてに聞いた話だが、
チョコレートをもらえそうにないからと
学校を休んでしまった男の子がいるという。
チョコレートがもらえないくらい冴えない男だということは、
チョコレートがもらえるかどうかとは関わりなく
はたから見れば分かり切ったことなのに、
まったく気の毒なことである。
さて、友チョコというのをご存じだろうか。
文字通り、友だち同士でやりとりするチョコのことである。
まず義理チョコの新しいバージョンと思えばよろしい。
なかなかほほえましいと言えば言えるし、
意中の男の子がいなかったり、
いてもなかなか渡せないような女の子には、
格好の代償行為になっているのかもしれない。
しかしこれはこれで、なかなか気が重いもののようだ。
誰かにあげる、ということは、
誰かにはあげない、ということでもあり、
この選択が実に難しい。
自分がチョコをあげた子から同じようにもらえれば問題はないが、
もらえなかったら
ああ、この子は私を友だちと思っていないんだ、と傷つくし、
逆に自分があげなかった子からもらってしまうと、
ああ、どうしよう、私はこの子を傷つけてしまった、
なんて悩むことになるらしい。
おそらく今日は、全国の何百万という女の子たちが、
こんなふうにものすごーく気を遣い、
神経をすり減らすような思いをしていたのだろう。
友チョコなんていう言葉を
誰が作って流布させたのか知らないけれど、
そう考えると、なかなかむごいもんだよね。