投稿者「komodakenzo」のアーカイブ

すっかり別人

自宅リフォームのための引っ越しを控え、
部屋の整理にいそしむ毎日である。
捨て始めると、捨てることはけっこう楽しい。
考えるよりも先に片端から捨てるような有り様で、
使わない物はあらかた捨ててしまった。
日記も手紙も捨てた。
私の精神の遍歴をわずかなりとも残しているのは、
6年前から書いているweb上の雑記だけか。
過去をきれいにデリートしたような気持ちは、
すがすがしいようでもあり、
寄る辺を失った不安を押し隠した虚勢のようでもあり、
その両方が分けがたく絡み合っている。
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持ち物を整理していくうちに、気がついた。
いつの間にか年を取った。
かねてから、久しぶりに着る服はどうしてこんなに
似合わないのだろう、と不審に思っていたが、
古い写真を整理し始めて、すぐに合点が行った。
今や別人なのである。
服のサイズは変わっていないが、
全体としてみると、体形は別人である。
頬の肉付きも、目の周りの表情も、
似てはいるがまったく別人である。
これでは若い服が似合うはずもない。
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捨てることにきっちりと覚悟が決まったのは、
これが分かったせいかもしれない。
過去を懐かしむ何を残したところで、
すでに私は別人になっている。
あの頃の颯爽とした若さも、軽やかな歩みも、
沈欝な気分も、過剰な自意識も、哄笑も、
今の私からははるかに遠い。
だからと言って、老いを嘆きたいわけではない。
年を取らなければ味わえない楽しみがあり、
美しさがあり、
年を取らなければ語れないことばがあるのだから。
ただおじさんはおじさんらしく、
年齢にふさわしいその場所から、
若者に媚びることなく、流行におもねることなく、
年を重ねた者にしか語れないことばを語ればいい。
若者のように振る舞って、
若い時代にしがみつこうとするのではなく、
むしろ年齢にふさわしく
老いつつ成熟していく方が、
ずっとカッコいいんじゃなかろうか。

そうそう、これも

若いころは、格好いい道具が好きだった。
便利な機能どころか、使いやすさを犠牲にしても
構わなかった。
これはドイツのseca社の体重計。
高くて、重くて、精度も大したことないが、
今でも気に入っている。
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物というのはお金さえ出せば誰でも
手に入れられるものだから、
何を持っていようが偉くもなんともないんだけど、
機能よりも見た目、というあの頃の選択基準は
いさぎよくていい、と思う。

むかしの電話

と言っても黒電話ではない。
20年ほど前に買ったイスクラETA80。
1984年に日本でもグッドデザイン賞を受賞した
ユーゴスラビアの逸品である。
ずっと前に使わなくなってしまい込んであったのが、
本日の大掃除で発掘されたのだ。
ごらんのとおり、めちゃかっこいい。
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四半世紀もたって、いまだに美しいデザインというのは
めったにあるものではない。
20年前、リダイアル機能もないこの電話で、
松任谷由実のチケットを取るのに
じーころじーころ
4時間もダイアルし続けたことを思い出す。
しみじみ。
そう、ダイアルである。
ウチの子たちは、電話のダイアルの仕方を知らなかった。
受話器を取って、回して、放す、
の「放す」がうまくできないのだ。
やったことがないから仕方がないが、
やはり時代は変わっている。
われわれのあの頃は、いまや昔話である。

夜の公園

教室からの帰りに、よく公園を通る。
昼間の公園はこどもたちのものだけれど、
夜になれば、話は別。
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命知らずの野郎ども

久しぶりに吉野家に行ったら、
牛丼が復活していた。
狂牛病騒ぎがあった後も
吉ギューがアメリカ肉を使っているのは
誰もが知る事実だが、
さて、牛丼を注文する人はどれくらいいるものか。
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ま、半々ってところだろうと当たりをつけ、
豚丼をかき込みつつ観察してみたところ、
その割合は、なんと
12人中10人にも上ったのである。
これにはびっくりした。
だってアメリカの検査体制なるものが、
お話にならないくらいずさんなものだってことは、
新聞を読んで知っているだろうに、
怖くはないのだろうか。
いろいろ考えてみたのだが、
牛丼をもりもり食べちゃうみなさんは、
要するに
あちこちで目にするさまざまな報道を、
ちーとも真に受けていない、ということなのだろう。
今日は午後から雨になります、って言われても
傘を持たずに出かけるように、
個人的な実感だけをたよりにしているのだろう。
それはそれで悪くない。
判断の中心に自分がいるのはよいことである。
しかし、このように生死に関わるほどの
情報ですらほとんど顧みられていないということは、
この社会の現実は、派手な見かけに関わらず、
ちーとも情報化なんてされていなくて、
情報が、フィクションと同じレベルで消費されている
ってことなんだよなー。

本の整理

昨日から自宅の本を整理しています。
近くのブックオフにピストン輸送して、
700冊ほど処分しました。
あと200冊くらいありますが、
棚から出したところで体力が続かず、
続きはあしたです。
さすがに本棚にも余裕がでてきたし、
いや、捨てるのもけっこう楽しいなあ。
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わが家の本棚

うちの本棚です。
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本は際限なく増えてしまうものですが、
思い切って処分して、そろそろ身軽になるつもりです。