さっき大きな雷が鳴った。
急いでパソコンのコンセントを抜いた。
雷ってのは神が鳴るっていう意味らしいが、
たしかにこんな大サウンドは、
とうてい人の力で出せるものじゃない。
昔の人じゃなくたって、
神が鳴っていると言いたくなる。
部屋で聞いているだけなのに、
太古の心が思い出せるような気さえする。
こういう圧倒的なものの存在を
からだ全体で思い知らされるのは痛快だ。
ここで放電によって空気が膨張し、
そのときの振動がどうのこうの、なんていう
「科学的な」説明を持ち出して、
心の震えをごまかしてはいけない。
そんなものは、ただ名前を付け替えただけのことである。
物が落ちる力に引力という名前をつけたところで、
その力が存在する不思議を説明したことには
ならないように、
「神が鳴る」を「放電現象」と呼び替えたところで、
何が分かるわけでもない。
びっくりすべきことには、ただびっくりしよう。