お天気のはなし

この頃は、天気予報がよく当たる。
昨日も夜半から雨になって、まさにどんぴしゃである。
以前は天気予報と言えば、
あたらないと決まったものだった。
「気象台、気象台」と三回唱えれば、
腐った魚を食べてもあたらない、
と言われたくらいだから、よほどである。
もっともこれは戦争が始まってからは、
「たまに当たる」ということで、
言わなくなったらしいけど。
それはともかく、
近ごろの天気予報は、よく当たる。
三枝惣右衛門と田村仁左衛門吉茂と
津軽采女正と岡田武松が
束になっても敵わないくらい、当たる。
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で、何が言いたいかというと、
これだけ当たるようになったんだから、
当たらないときに言っていた悪口と同じくらい、
すげー当たるよなあ、って感心してやろうぜ、
ということである。
ほめよう。
もっと人の仕事を、人の努力を、人の誠意を、ほめよう。
天気予報が当たるのは、
気象衛星の充実やら統計処理のなんちゃらといった
技術の進歩のおかげであって、
べつに気象庁が偉いわけじゃない、
なんてことを言ってはいけない。
だったら、
そうした技術の進歩をもたらした
みなさんの業績をほめればいいだけのことだ。
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ぼくたちはついつい、あれが問題これも論外、
あいつもこいつもバカばっかで、
この国の将来はもう暗澹たるものだ、
なんてことばかり言ってしまうけど、
そういう姿勢は知的でもなければ誠実でもない。
ほめることはほめ、喜ぶことには喜び、
いやあ、よい時代に生まれついたものだなあ、と
わが身の幸いをことほぐ方が、
どれだけ幸福に近づく道か分からない。
予報どおり、雨もあがった。
いい天気だ。