原初の世界を夢想する

自然の中に身を置くことを想像してみる。
森や渓谷のことではない。
原初の状態とでも言うべきか。
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思えば今、
ぼくたちが眼で見、耳で聴き、手で触れる世界は、
すべて人の手によって作られたものだ。
毎日を過ごしているこの風景は、
原初の姿と比べると、なんていびつなものだろう。
広がりもなく高さもなく深さもない。
まるで70平米4LDKのように
切り刻まれ、小分けにされた世界だ。
幅5m、高さ10メートル、長さ数十メートル。
ぼくが家を一歩出て、
一望できる世界の広さはこれである。
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この場所の、ほんとうの大地の広さは、
ほんとうの空の高さはどんなだろう。
そいつをひと目見てみたら、
飼い慣らされた目も耳も脳みそも、
本来の広々とした働きを始めるんじゃないか。
こんな想像をしてみたら、
当たり前なものの当たり前さが
ちょっと揺らいだみたいで、おもしろかった。
そんだけ。