雪の降る街を

センター試験の日には雪が降る、というお約束通り、
この冬初めての雪になった。
朝から断続的に降り続け、夕方には足首まで埋まるほどになった。
日が暮れてから、雪の街をみてみようと、お散歩に出かけた。
見慣れた星ヶ丘までの道が、まるで知らない北国のようだ。
ビルの明かりやクルマのライトに照らされた雪に、
道を行く人たちの影が浮かぶ。
すれ違う人はみな、髪にも肩にも雪を残している。
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名古屋はほとんど雪が降らないので、
雪に備えている人はそれほど多くない。
すっかり踏み固められている下り坂の歩道を、
片手に傘をさした自転車のおねえさんがそろそろと走っていく。
勇者である。
オートバイも何台か走っている。
オートバイは傾けないと曲がらない乗り物だが、
凍結路で傾けるとふつうは転ぶ。
ブレーキをかけて前輪が滑ると、ひとたまりもない。
凍った道で転ぶと、起こすだけでも大変である。
あれでちゃんと帰り着けるのだろうか。
心配ではなくただの興味から、見届けたくなった。
このあたりは坂道が多い。
立ち往生しているクルマは2台や3台ではない。
面白いもので、困っている人には同情しても、
停まっているクルマにはそういう気持ちを感じない。
ふと、
目の前の人を撃つことはできなくても、地図上の地点とか、
建物だったらためらいない攻撃できる心理と同じだな、と思った。
まとまりのない雑感だけど、
年に一度あるかないかの機会なので、書き留めておく。