東京の公立高校の卒業式で
君が代「不起立」を呼びかけて式を妨害した人がいた。
彼は定年までその高校で教鞭を執った元先生だったが、
裁判で威力業務妨害罪に問われ、ついに今週、
罰金刑を言い渡された、という。
どうよ、これ。
天皇の御代がいつまでも続きますように、
なんて歌をオレは国歌とは認めん、という主張は、
分からないでもない。
オレが正しいと信じていることは正しいに決まっているし、
その正しいことを貫き通す行為はこれまた正しい、
と信じる気持ちも、この際分かってやっていい。
しかし、公立高校で定年まで教鞭を執った先生が、
お世話になった東京都やお国に反旗をひるがえすってのは、
やっぱりおかしいのではないか。
なにしろこの人の人生は、公立高校の教師としての禄を食む
ことで成り立っていたのである。
それほど不満があったなら、さっさと高校を辞め、
私塾でも何でも開けばよかったではないか。
いや、そうではない。
抗議をしたい気持ちを強く持ちながら、
現職の教師という立場に鑑みて、ずっと抑えてきたのだ、
定年を迎えて公務員としての立場を離れて
はじめて自らの信念に基づいた行動に出たのだから、
筋が通っているじゃないか、
と考える人もいるかもしれない。
うーん、難しいねえ。
ただ、
ウソかホントかは知らないが、
学生運動が盛んだった頃、
「革命の理想を掲げる以上、国の庇護の元で勉強する
わけにはいかない」と、
あえて私大に進んだ連中がいたという。
こういう馬鹿ないさぎよさが、ぼくは好きだ。