ここのところ、紫陽花の写真ばかりを撮っている。
紫陽花はとくに好きな花というわけではないけれど、
写真に撮るのは面白い。
自分の狙いとはかけ離れた、
ちょっと意外な写り方をすることが多いのだ。
ものすごく上手な人はどうだか分からないが、ぼくのレベルだと、
きれいなものを見て、その美しさを残しておこうと思って撮っても、
まったく実物の素晴らしさを保存することはできない。
人間の目と脳が捉える絵の素晴らしさは、
とてもカメラの及ぶところではないといつも思う。
その代わり、何でもないものを、取りあえず撮ってみると、
それが案外面白い写真になったりする。
写真という名前に反して、
実際に目に見えている印象をそのまま撮ることはできない一方で、
肉眼では見えなかったものが、撮ることによって出現するのである。
こんな風に撮れた写真にあらわれているものが、
果たして紫陽花の美しさと言えるのかどうかは知らない。
しかし、隠された美しさや造形の見事さを見つけ出すのに、
デジカメくらい面白くてお手軽な物もないな、と思う。