いま読んでいる本

いろいろな本を同時に読んでいる。吉原幸子の「幼年連禱」。フェルナンド・ペソア「不穏の書、断章」。シモーヌ・ヴェイユ「重力と恩寵」。片桐洋一「古今和歌集全評釈(中)」。

どれも詩や断章ばかりだから、没頭して読み続けることがない。ヴェイユやペソアはそもそも難しすぎて没頭できるほど分からない。ずいぶん歳を取り、ずいぶん読んできたつもりなのに、まだまだ読めない本の方が多い。あーあ。

ソファに寝転がって詩を読み、夜寝る前にペソアを読み、風呂に入りながらヴェイユを読み、夜中に目が冴えてしまうと古今集を読む。

「幼年連禱」は、当時はどういう評価だったんだろう。今読むと言葉がすっかり古びてしまっている。吉原幸子は谷川俊太郎や入沢康夫とほぼ同年で、田村隆一や安東次男あたりよりもずっと年下なのに、どういうことだ。いや、不思議なのは、むしろいつまで経っても古びない言葉のほうか。実験的な新しい表現に挑んでいるのに、すぐれた詩は、半世紀たってもまだ新しい命を持っている。驚くべきことだ。