こわれるこわれる

誰もが気づいていることかもしれないが、
クルマだの電化製品だのといった耐久消費財は、
きまって同時に壊れるものである。
ウチの場合は、食器棚と流し台の開き戸が取れ、
食卓の椅子はぬきが外れてガタガタする。
洗濯機は唸りを上げ、掃除機は異臭を放ち、
インターホンはぷつぷつ途切れ、
パソコンはいきなり電源が落ちる。
教室の蛍光灯は管を替えてもちらちらするし、
クルマに乗ったら、
サイドブレーキのワイヤーがぷちんと切れた。
こう次々に壊れるのを見ると、もしかしてこいつらは
買い換え需要を見越してわざわざ壊れるように
設計されているのではないかとか、
あるいはつくも神のように物にいのちが宿っていて、
細胞におけるアポトーシスさながらに自壊作用を
起こしているとか、
一種のシンクロニシティによる連鎖反応が起きているとか、
そんなさまざまな憶測が浮かんでは消える。
もちろん、怪奇現象でもあるまいし、
いろいろなものが同時にあるいは連続して壊れる、
なんてことが実際に起こっているとは考えにくい。
そう感じるのは、多分に気のせいで、
ただこれまで意識もせずにやり過ごしてきたことを、
何かのきっかけでにわかに強く意識するようになった、
というだけのことなのだろう。
それでもね、
気のせいだろうが何だろうが、
修理するのにしっかりお金がかかるという方は、
間違いのない現実なんだよなー。
浜の真砂は尽きるとも世に物いりの種は尽きまじ、
ってか。めそめそ。