せっかく何かを始めようと思い立ったのに、
これからかかる手間と時間が先に浮かんでしまって、
結局何もやらずに済ませてしまった、
なんて経験はありませんか。
わたしなどはいつもそれで、
前非を悔悟して涙にくれることや幾たびとも知れません。
あのとき思い立ったことをこつこつやっていれば、
今ごろドイツ語なんぞをぺらぺらしゃべり、
超絶技巧練習曲あたりをぱらぱら弾けて、
心臓移植手術くらいほいほいこなし、
体脂肪率10パーセントのむきむき体型になっていたかも
しれないとか、
毎日単語を十個ずつ覚えていれば、
英和中辞典の一冊くらい覚え終わっていただろうとか、
最初の給料から毎日五百円ずつ貯めていれば、
今ごろわがヘソクリは数百万円に達していただろうとか、
それこそ枚挙にいとまがありません。
まさに継続は力なのであります。
継続は力ということは、何かをするときだけでなく、
何もしないときにも妥当する真理です。
つまり「何もしないこと」を継続していると、
何もしないことが力を発揮して、
何もしないことが習い性となってしまうのです。
恐ろしいですね。
アリストテレスによれば
「自然は真空を嫌う」そうですが、
たしかに何もしないことによってできた空隙は、
ぽっかり空いているわけではなくて、
大したこともないことがその空隙を
何となく埋めてしまうものなので、
無為に過ごしたという自覚もなく、
気がつけば十年も二十年も過ぎてしまった、
なんてことになりがちなのです。
まったく恐ろしいものですね。
今日は疲れているのでこのまま寝ますが、
明日か来週かそのうちに、
もし時間があったら、
今度こそ心を入れ替えてがんばろうと思います。
ほんとです。